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FX口座あれこれ

FX会社のカバー取引

2014年7月7日

2019年8月から毎月、各FX会社のカバー取引状況が公開されています。そこで、その内容を確認しましょう。

カバー取引とは

最初に、カバー取引とは何か?の確認をします(下の絵は、FX取引のイメージ図です)。

FX会社は、インターバンク市場(銀行間取引市場)から価格情報を取得し、顧客に提示します。そして、顧客は、その数字を見ながらFX取引をします。

FXの仕組み

ある顧客が、米ドル/円を買ったとしましょう。FX会社から見れば、米ドル/円を売ったことになります。

  • 顧客:米ドル/円の買いポジション
  • FX会社:米ドル/円の売りポジション

この状態になります。すなわち、円安になったら、顧客は含み益になりますが、FX会社は含み損になります。顧客の取引額によっては、大変な損失になります。

将来の相場を確実に読むことは、FX会社にもできません。このままでは、少々心配です。

そこで、FX会社は、インターバンク市場で米ドル/円を買います。すると、売りポジションと買いポジションが相殺しあって、損失リスクが消滅します。

これが、カバー取引です。

カバー取引の例

FX会社は、米ドル/円を顧客に売って、100万通貨の売りポジションを持っています。そこで、インターバンク市場から100万通貨を買いました。

すると、その後は、為替レートが上昇しようと下落しようと、含み損益に増減はありません。

カバー取引は、FX会社の経営を確実にするために、重要な役割を担っています。

各FX会社の状況

では、各FX会社のカバー取引の状況は、どうなっているでしょうか。主なところについて表にまとめました。

各FX会社の名前部分をクリックしますと、根拠となったデータが公表されているURLに移動します。

未カバー率カバー取引の状況平均証拠金率
セントラル短資FX0%100%33%
アイネット証券0%1.0%23.7%
マネースクエア0.4%100%34.5%
FXプライムbyGMO0.08%100%26.74%
ヒロセ通商0.7%100%32.7%
インヴァスト証券1.31%100%25.12%
YJFX!2.32%100%19.57%
マネーパートナーズ1.61%100%23.08%
トレイダーズ証券9.65%23.53%23.08%
DMMFX54%78%18%
調査日:
2020/8/13

項目が3つあります。それぞれについて、意味を確認しましょう。

未カバー率

FX会社は、顧客と取引します。そこで発生したFX会社のポジションのうち、カバー取引をしていない率です。

計測方法

あらかじめ決められた計測日について、23時・25時・27時の3地点でカバー取引していない率を計測します。3つの数字の中で最大の数字が、表に書かれています。

完全にカバー取引をしていれば、0%になります。全くカバー取引をしていなければ、100%になります。

カバー取引の状況

これは、カバー先の健全性に関する数字です。

カバー取引をしていても、カバー先の金融機関が経営破綻すると、FX会社にもマイナスの影響が及びます。そこで、カバー先の金融機関の安全度を確認できます。

具体的には、BBB格以上の格付の金融機関へのカバー取引率が、掲載されています。

計測方法

未カバー率と同様です。特定の日の3地点で計測し、BBB格以上のカバー取引先における建玉の合計額が最大となる時点の数字が、掲載されています。

平均証拠金率

この数字で、顧客がどのような取引をしているかが分かります。顧客の全ポジションの合計額に対して、口座清算価値がどれほど大きいかという数字です。

この数字が大きいほど、相場の急変に耐えられます。数字が小さいと、強制ロスカットになりやすいです。

計測方法

特定の計測日の取引終了時点において、平均証拠金率を算出します。

調査の評価

では、各FX会社の数字を評価してみましょう。

未カバー率

未カバー率は、0%であることが望ましいです。

仮に100%だとすると、2008年のリーマンショックや2015年のスイスショックに匹敵する大波乱があるときに、強靭な体力がないと企業経営が厳しくなるかもしれません。

その視点で見ますと、セントラル短資FXとアイネット証券は、安全度が極めて高いと評価できます。

どの数字までが許容範囲かというのは、具体的に示すことが難しいです。しかし、トレイダーズ証券の9.65%までは許容範囲なのでは?という感触です。

(根拠は?と聞かれると困るのですが、全体のうち90.35%がカバー済ということですので、何かあっても経営を維持できるだろうという予想です。)

その一方で、おや?という数字が出ているのが、DMMFXです。未カバー率が54%です。

理由は何だろう…。強引に予想してみます。

予想:

顧客の特定のポジションについて、DMMFXの調査によれば、今後の為替は逆方向に進むと考えている。すなわち、カバー取引しないでポジションを保有する方が合理的だ。

ただし、外れる可能性もある。そこで、いつでもカバー取引する準備はできているし、仮に損失が発生しても大丈夫な体力(資金)もある。

例えば、顧客と取引してマリー取引も駆使した結果、FX会社が持っているポジションは買いポジションだとします。

そして、FX会社は、今後は円安になると見込んだとします。この場合、自社保有の買いポジションについて、カバー取引しないで保有を続けるのが合理的です。

そこで、一部のポジション以外は、未カバーとします。

これは、ゆったり為替の予想です。よって、正解かどうか不明です。これ以外の理由としては、何がありうるかな…。さらに考えると、頭の体操になりそうです。

参考:マリー取引

FX会社としては、素直にカバー取引をすると、収益率が高くなりません。カバー取引とはすなわち、外部金融機関との取引です。一定のコストが必要だからです。

そこで、カバー取引しない方法を考えます。例えば、下の発注があったとしましょう。

  • 100.00円で買い注文10万通貨
  • 100.00円で売り注文10万通貨

この場合、カバー取引せず、自社システム内で相殺すればOKです。2人の顧客に確実に取引してもらったうえで、自社のポジションはゼロとなります。

スプレッド分全体が、FX会社の収益となります。これをマリー取引と呼びます。

カバー取引の状況

カバー取引の状況は、カバー先金融機関の健全度を見る指標です。よって、100%が望ましいです。

多くのFX会社が、100%になっています。

しかし、アイネット証券などが、極端に低い数字になっています。これは健全度が低いという意味ではありません。カバー先が格付を取得していなければ、評価できません。

格付未取得の金融機関等がカバー先だと、数字が小さくなります。

気になる場合は、上の表のFX会社名をクリックして、数字の内訳(BBB格以上・BB格以下・格付未取得)を確認してみてください。

数字が大きい方が良いと単純に評価できないのが、少々難しい点です。100%ならば、安全度が高いです。

平均証拠金率

この数字は、FX会社の問題というよりは、顧客の問題です。どれほど安全度が高い取引をしているか?という指標です。

ポジション総額に対して、証拠金額の割合はどれくらいかかが分かります。数字が大きければ大きいほど、ショックに対して強いことを示します。

概ね、2割~3割台の範囲に収まると言えそうです。すなわち、レバレッジは3倍~5倍くらいです。

最も数字が小さいのは、DMMFXです。逆に、最も数字が大きいのは、マネースクエア(M2J)です。顧客の性質がそのまま表現されていると言えそうです。

DMMFX:
高レバレッジのデイトレードを好む顧客が集まっている(高レバレッジで中長期トレードは困難)。
マネースクエア:
トラリピが主力であり、顧客は中長期の低レバレッジで運用している。

FXは、大半の顧客が損します。そして、多くの顧客がデイトレードを好むなら、ポジションは当日中に決済されます。

ならば、カバー取引の割合を小さくするのは合理的かもしれません(DMMFXのカバー率は低いです)。

安全度重視でFX会社を選ぶなら

安全度重視でFX会社を選びたい場合、上の数字が参考になります。この数字とともに、自己資本規制比率の数字を見ますと、より確実に安全なFX会社を検討できます。

こちらは、数字が大きいほど安全度が高いです。

FX会社名自己資本規制比率
YJFX!1,292.0%
セントラル短資FX958.2%
FXプライムbyGMO900.1%
ヒロセ通商737.3%
インヴァスト証券569.0%
IG証券512.6%
DMMFX510.5%
マネーパートナーズ409.7%
トレイダーズ証券401.2%
マネースクエア393.6%
<調査日:2020年8月26日>

上の二つを総合的に見ますと、安全度はセントラル短資FXが優位に立っていると言えそうです。

2010年の状況

参考までに、2010年当時のカバー状況を確認しましょう。当時と比べることで、現在の安全度の高さを考えることができます。

FXの監督官庁は金融庁です。金融庁が、調査結果を公表しています(引用:金融庁「外国為替証拠金取引業者に対する一斉調査の結果について」)。

カバー率 割合
100% 73%
90%以上100%未満 4%
70%以上90%未満 4%
50%以上70%未満 7%
30%以上50%未満 5%
30%未満 7%

2010年当時、カバー率が30%に満たないFX会社が7%ありました。30%未満というのは、とても低い数字です。

全体的に見て、カバー率は高くなっていると評価できます。その分だけ、FX会社の安全度は高くなっています。

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